最初にざっくり感想を述べますと。
後から読み返すと文句ばかりの感想だな~と思うけど。手放しで大感動ではないけど。総合で静かに満足している。とにかく図録が酷かったので買う気が失せてしまったのが残念。
何より、鑑賞環境が落ち着いていたのが良かった。
そこそこ満足のいく展示内容で、パウル・クレーに触れたなという感じはするけど。
パウル・クレーはそんなに迫力のあるタイプでもないし、なんかいいな~好きだな~っていう程度で心揺さぶられるというタイプの画家さんでもないと思っているので。
ぽや~っと良い気持ちになって帰ってきました。
パウル・クレーは2015年にも兵庫県立美術館でやっていて、その時の満足度が高かったので、それからすると。展示内容が控えめというかしょぼめというか。パウル・クレー以外の混ぜ物底上げ作品もかなりみたけど。クレー以上にぐっとくるような作品はなかった。
国内の美術館から集めてきたもの、パウル・クレーと交流のあった画家の絵で水増し(ただし、同じく高名なカンディンスキーはあまんりない)といった感じ。
GWがらみの日曜日に行ったとしては十分空いていて、見やすかったし。お客さんたちもほんとに絵が好きだと思っている人以外は来場しないにからなのか、静かで穏やかで鑑賞環境は良かった。
それでも、日本国内で、1時間ほどでは足が届く場所で見られるのだから贅沢を言ってはいけませんね。
2015年の方がよかったな~っていう気持ちは。
私が年を取って何かを見た時に「いい!」と感じる脳が退化(老化)しているだけなのかなと悲しいことも考えながら。
2015年の出品リストと今回の出品リストをざっと比べた。
スイスのベルンにあるパウル・クレーセンター(ベルンはクレーの故郷です)からの貸し出し割合が低かった。
多分、今、ベルンに行って、重要な展示物が日本に貸し出し中だと涙を呑むほどの大物は来てないという感じかな~。
展示物はしょぼいのに2015年には入館料が1,400円だったのが、今回は2,000円でした。
インフレの影響で値上がりするのはやむなしとしても。内容が薄めてあったり、量が少なかったりするとモヤモヤしてしょんぼり気味。
見に行く前にかなり警戒するようになっていまして。5年も空いてました(コロナの影響もあり)。
久しぶりの美術展だったけど。時代が変わっていた。
今回は作品を写真でかなり好きに撮ってもよかった。
国内美術館の貸し出し品には大概撮影禁止の表示があったけど。ベルンから運んできている作品は大概、撮影可でした。
海外の美術館では携帯で撮影していいらしいと10年以上前からよく聞いていたので。
やっと日本もか~って感じです。
とはいえ、最初は撮影せずに鑑賞していました。
絵なんて、見たいと思えばネットで探せばいくらでも行き当たる。
それでも展覧会に行こうと思うのはその場で観る体験に集中して、多くの作品を一度に取り込むことが心地いいと思っているから。
どうせ、見た絵を全部記憶することなんてできないのだけど。美術館で、展覧会場で見ているその場で楽しければそれでいい。食事なんかと同じ感覚?
さらには、図録を買おうと思っていたから。
だがしかし、途中ソファーで休憩がてら図録のサンプルをペラペラとめくったら・・・作品の写真があまりなくて、さらに小さく控えめで。ものすごく分厚いのに文字だらけ。そもそも集めてきた作品の数と内容が迫力に欠けるのに写真よりも謎の専門家の皆さんの文字だらけ?何をそんなに書いたのだというほど文字だらけ。絶対読まない。
そんなあほな!と思って慌てて順路の途中まで戻って、気に入った写真だけスマホに収めてきました。
今回ナンバーワン。これかな?
あと数枚。順路を逆走して。気にいった作品だけをiPhoneに納めてきました。
お土産コーナーに置いてあった、関連図書の中でこの本がいい感じだったので図録の代わりに買おうかと思ったけど。重いのでとりあえずAmazonのカートに突っ込んでみた。買うかな~4,000円近いんですよね。でも欲しいけどいつでも買えると思うとまだぽちっと行けてません。
この本の中を見ると、今回見てきた作品がパウル・クレーの最高峰の作品じゃないのはビシバシ感じられる。
また、2025年1月初版と新しいのもいいですね。
お土産レジでも図録が全く動いていないのは感じた。
どれほどスマホで撮影許可がでていても、プロが撮影したきれいな図録にはそれ相応の価値があると思うのに。
一字一句漏らさず読めば価値ある1冊なのかもしれないが。
クレーさんは、生前、自分の作品に対する思いをかなり言葉にして残していらっしゃるせいもあるのかもしれないが。
本人の言動だけならまだしも、うんちくやら含蓄やらの説明が多い展覧会でした。
(個人的には、絵をみて何か思うところがあって知りたくなったら調べたい。何年頃、何歳ごろ、どこで描かれた作品といった程度の情報だけあればいいと思っているのだけど。このプロジェクトに関わってオシゴトをしないといけない方々がたくさんいすぎてあのバランスの悪い活字だらけの図録ができるのか?と)
嫌なら読み飛ばせばいいだけのことではあるので。
買いたい図録じゃなかったのでかなりその点ご不満なのでした。
テーマを考えたり、その時によって見せ方や紹介する角度を変えたりして飽きさせないようにしようという努力ではあるのだろうけれど。
帰宅してから、2015年の図録をざっと見返しましたが。
国内貸し出しのものは2015年にも見てますね。
見覚えのあるものもありました。
前回(2015)はカンディンスキーとの関係性を軸にバウハウス時代の作品にかなり焦点を絞ってあったと思うのだけど。今回は無名の頃の作品から生涯にわたり。ばらばらと。パウルクレーは音楽家一家に生まれた音楽と絵画作品の縁が深すぎる人なのに。出会ったアーティストに焦点を当てるために全部省かれていた。
特に後世、名が轟いてから亡くなるまでに相当の売る努力をされ、作品数も多くなっているのはよくわかった。その活動を厭ってはなかなか人気は維持できないのは100年前も変わらずってことですね。
数年に一度でも素敵な絵を見れるのは幸せだし。
ネットでどれほど美しい画像を見れたとしても、その場所へ行ってそのものを見る良さというのはまだまだ私にとっては価値あるものだと思うので。
折をみて今後も美術展には足を運ぼうという気持ちになりました。
世界の安藤の兵庫県立美術館。私はあんまり好きじゃないんだけど。
気候がよいGWにはそれほど気にならない建物です。
真冬に行くと死にそう。寒い。痛い。コンクリートの打ちっぱなしは嫌いです。