こちらの本を読んだときに、かなりのページを割いて言及のあった映画「パピヨン」が劇場公開されていたので観てきました。
黄金郷(エルドラド)伝説 スペインとイギリスの探険帝国主義 (中公新書) Kindle版
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初公開からは50年以上。マックイーンも大脱走をはじめ何作かは見ているが、この作品はタイトルさえ知らなかった。ただただかっこいいスティーブ・マックイーンを求めるならこの映画じゃダメですが、見所満載の映画でした。
あらすじ(ChatGPT監修!)
フランスの作家アンリ・シャリエールの実話に基づいた映画「パピヨン」は、無実の罪で13年間の刑務所生活を強いられた主人公パピヨン(マックイーン)が描かれる。彼は天才偽造職人ルイ・ドガ(ホフマン)と監獄へ向かう船で知り合い、絆を深めながら過酷な環境の中で脱獄を目指す。しかし、何度も脱獄に失敗し、厳しい独房生活や悪名高い「悪魔島」への送致を経験しますが、最後には自由を手に入れることに成功。
(映画なので、逃げて幸せに暮らしましためでたし的な適当描写で終わるが、事実ベースでみると、時代もかわって、その恐ろしい監獄や独居房等のシステム自体が廃止されたそうです)
以下、感想。
お話の出来という観点から見ると、後半ダレる。が監獄のシーンを含め見所満載。
1度目の独房入り(2年)とその後1回目の脱獄に成功するまでは映画の尺で感じる以上の年月と苦労があって、二人を含め他の囚人との絆を深めるシーンや、当時の南米南米フランス領ギアナで実際に行われていたであろう非人道的な日常がある意味コミカルにさえ見える描写。ここまではかなり面白い。必見。
どれほど痛めつけられようとむっちむちで元気そうなマックイーンの巨体が気になるが笑。こんな大スターに、役に合わせて体重をコントロールするなんていうストイックさは求められなかったんだろう。
1回目の脱獄に成功した後のナゾのファンタジーシーンもほんとナゾ。(山を越え谷を超えってな調子でマックイーンが巨体を揺らして白い粉を口に含みつつ駆け抜ける、なんやかんやあって、豊かな海辺の原住民の村へたどり着き幸せなシーンが続き、なんでか突然原住民がマックイーンを残していなくなっちゃって、また逃亡生活に入らざるを得ない、ナゾすぎて頭にこびりつきました)。が無駄に長くて。まるでおとぎ話?
宝島とかガリバー旅行記とか、子どもの頃に読んだ1800年代の冒険小説のように薄くて浅い冒険譚が続いて若干うんざり。
謎ファンタジー冒険活劇きっついな~と思っていたら、突如原住民がマックイーンを残していなくなっちゃってのあとから急にテンポアップして急展開でいい感じに結末にたどりついた(編集の英断が入った感じ)。
シスターに助けを求めて手持ちの有り金(原住民にもらった?パール)を巻き上げられた感満載で通報されて監獄に後戻りする下りは非常に面白かったけど(善なるものは非情に徹すること時に容易、信じる者は救われるってやつですね)。
Wikiをさらっと読んだところ事実?
下手な作り話より事実の方が断然エキサイティングな例だなと思った。
むしろぐだぐたと書いてしまったファンタジー冒険シーンは映画パピヨンの真骨頂ではなく、大いに価値があるのはギアナにあったという流刑地の日常にあるのだろう。
歴史的、文化的、事実を突き詰めるという意味では小説も映画もウソを含みすぎているのだろうと感じるが、もう知りえない当時の事実の一端を垣間見ることができるという意味で、見所のありすぎる映画だと思いました。
先に読んだこの本の作者の方の感じられたように、価値ある映画(とてもこの映画が事実であるとは言えないが、事実の一端を含んでいて、それをわかりやすく表現されている)です。
黄金郷(エルドラド)伝説 スペインとイギリスの探険帝国主義 (中公新書) Kindle版
先にこの本を読まずして、トレイラーをみてなんとなく映画を見に行ったら、期待させられたものと違ってだらだら長い映画を見せられたと感じていらついたかもしれません。
予告編は予告編。実際の映画を見てきてからこの予告編を見ると、今の映画っぽい内容に感じるようにいいように脚色していると感じます。
予告編が期待させる方向”爽快!バディ映画"は的外れ。長い年月を過酷な環境で共に暮らす仲間の中には信じ、裏切られ、また信じてそして見捨てるか見捨てないかで自分の運命が決まるのです。
最後の最後のパピヨンは悪魔島からの脱獄に成功するんだけど、もうこれほど痛い目をみて10何年の月日を費やすと、狂気的。
脱獄が自由を手に入れる手段ではなく
脱獄を成功させることが目的と化して
自らの命を顧みない。
現実でとるべき選択ではないが、お話としては面白かった。主人公ってこうあるべきです。安全策だけ見据えて生活するような人はハリウッド映画の主人公にはなりえない。
ラストの悪魔島のシーンではマックイーンの演技が光ります。
狂気の演技・・・ではなく老け役。じ~さんっぽい動きがなんとも老人臭い動きの演技が光る。これ完全老人やんってやつ。
マックイーン40歳そこそこくらいの年の撮影だと思われるので。今の私よりよほど若い。老人への理解度高いです。
最後;余談的に。
ギアナに送られて最初の強制労働をさせられている川で、囚人たちのそばにワニが出たと大さわぎになります。
看守に「お前行って捕まえてこい!」と無茶ぶりされたマックイーンと、さらに無理やりマックイーンに指名されたホフマンの二人がワニの捕獲に素手で向かうのですが。
最初の川とは全然違う小さな水たまり?か沼っぽいところ。
本物のワニが放たれていて、お前が頭、俺がしっぽと二人で水たまりの外を右に左に行ったり来たり。二人が本気でビビってるのが伝わるし、ワニが濁った水たまりで寝返り?を激しく打つので頭の方向がわからない。
どうみても特写やCGを使えない時代なので右へ左へビビり倒しているのがつたわる。
多分、最後の最後にはワニが偽物(死んだワニ?)に入れ替えられて、英雄的なマックイーンに抑え込まれるのですが・・・面白かった。大過なくてよかった。けど、リアルってほんと面白いと思いました。
余談:驚きメモ
ハンセン病の方のコロニーがある島を海賊島のように扱っていたり(多分、映画がつくられた時には病気に対する理解は深まっていたのでしょうが、描写ひどいし、今じゃ描写することも許されないと思われるので驚いた)。その島の島民のみなさんには非常に親切にしてもらって助けてもらいました。
きれいな若い子が全身ほぼ裸で暮らす夢のような海辺の原住民の村。若い子のヌードが惜しげもなく披露されまくっていたのには驚き。
マックイーンが若いぴちぴち女子といい雰囲気になって、おててをつないだりしているのを見ると、どう考えても犯罪にしか見えなかったわ。とはいえ、実際にねちょねちょとくっつきあうシーンなどは一切なく、すっきりとヌードを見せまくられたって感じでした。
原作小説、パピヨンの作者